積み木もいろいろ、いいおもちゃには条件があります 和久洋三
5 積み木は、あえて角を丸く処理しない
私には積み木によってかたちの世界をしっかり子どもにつかみとらせるというテーマがあります。角がシャープゆえにくっつけたときにピタッとつながります、四角や、三角といった「かたち」を明瞭に肌で感じることも重要です。
たとえば、立方体をふたつあわせたとき、子どもはその合わせ目の線の部分を、何度も確かめるように指でなぞります。ふたつのものがぴったり合ってひとつになったことを確かめているのです。これがもし、角を丸めた積み木だったら合わせ目には溝ができ、つながったというイメージがもてません。
角があって、小さな子には危険なのでは、と心配する人もいます。しかし、遊びのなかで、角は痛い、平らな部分は痛くない、ということを少しずつ、身を持って知っていくことの方が大切だと私は思っています。
6 色彩は、本当に必要なものだけに
私は基本の積み木には全く色をつけていません。
色彩があることによって遊びが制限されてしまうことがあるからです。赤い家をつくろうとしているときに赤い積み木が足りなくなってしまったら、別の色をつけ足すしかありません。その子がイメージしていた赤い家はつくれなかったことになります。それよりも、白木の積み木で赤い屋根や青い船、黄色の電車など空想を広げて、自由に作った方がどんなに楽しいか。
3才児が積み木をひとつもって「ブーブーブー、消防自動車だよー」と言って遊んでいる時は白木のひとつの積み木はその子のなかで真紅な消防自動車としてイメージされています。
色のついたおもちゃを与えると色彩教育になると思っているひとが多いようですがこれは全く間違った考えです。カラフルな色彩の洪水の中で育った子どもは、色のついたものでないともの足りなくなり、派手なものばかりを好むようになってしまいます。そうなると色彩の微妙なニュアンスや調和に対しての感覚が鈍感になってきます。色というのは、1色できれいと感じるのではなく、ほかの色との調和によって、きれいにもきたなくもなるものなのです。
おもちゃを選ぶときは、本当に必要があって色がついているのかを考えましょう。例えばパターン遊びのように色とかたちを組み合わせて模様をつくる遊びには色が必要になってきます。
7 童具のデザインの最終クリエイターは子どもです
おもちゃ売場にある、動くおもちゃ、仕掛けおもちゃは、それ自体ですでに完成して創造の余地はありませんが、積み木に限らず、私の童具の最終のクリエイター(創作者)は子どもたちです。
子どもたちが何かを創造することで、初めて童具のデザインは完成します。しかも、ひとつの答えだけでなく百、いえ、それ以上の答えを導くことができます。そのためには材質やかたち、法則性などに徹底的にこだわります。これが冒頭で述べた、保父時代に子どもたちに突きつけられた問いへの答えでした。
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