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ボールで育つ知恵

和久洋三の「童具館」は、積み木・木のおもちゃなどの「童具」によって子どもたちの創造力と共生意識を育てます。
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ケルンボールで発達させる知恵はどんなこと?

ひとつのボール

はじめにひとつの基本ボールをくり返し与えることによって、赤ちゃんは自分以外の存在(ほかのひと、ほかのこと=対象物)があることを、まず感じます。自分以外のものを感じるということは、自分自身の存在をあらためて感じさせることであり、しだいに自己認識をしていくことにつながります。
同時に自分自身もそのたったひとつの存在であることを感じます。
また、いつも基本ボールとほかのボールを一緒に遊ばせることによって、ひとつののものがほかのものと(この場合はまるいかたちによって)関係があることを感じさせます。

 


 

ボールをつかむ、離す

お母さんとのスキンシップ、とくに胸に抱かれて感じられる、一体感(ひとつになること)と、離れること(=結合と分離)を、ボールを握ったり離したりすることによって、されに具体的に知覚します。
このつながることと離れることは、元素が結合したり、分離したりして物質が変化することから、生物の誕生、人間の出会いと別れにいたるまで、すべてのものごとに共通する根本的なことがらです。そのことをこの遊びは暗示させます。

ボールを握る、ボールを見る

ボールを握ることによっていま持っていること、さっきまで持っていたことを感じます。あるいは、ゆれるボールを見て、あっちにいった、こっちにきた、またあっちにいくだろうと感じます。これは過去と現在と未来の時間の流れを意識させることになります。そして、ボールがあること、あるいは動くことによって、空間も意識させます。時間や空間は存在する物や行為によってはじめて感じられるものです。



 

ボールを動かす

ボールを握ったり、動かしたりすることによって、自分の力を感じます。自分の力を知り、使うことは、生命力を強化します。そしてこの力(エネルギー)は自分だけにそなわっているものでなく、あらゆるものの中に宿っているものであることをやがて意識するようになります。

ボールに働きかける

赤ちゃんがボールを見ているだけでは、吊るされたボールはいつも同じすがたしかしていませんが、手で触れて、働きかけることによって、ボールはさまざまに変化をし、子どもを発見や創造に導きます。このことは人間がものごとに向って、行為をし、活動することがどんなに大切かを感じさせます。人間は行為、活動、体験を通してしか、真実のことをしることも創りだすこともできないし、自分を成長させることもできません。

 

くるくるまわる10色のボール

 

吊るし棒に吊るされた10色のボールは同じかたちです。でも、それはバラバラに眼に映ります。
これを円盤に吊るすと、色の輪=色環として見えてきます。色が互いに関係をもちながら移り変わっていくすがたを円という終わりのないつながりによって感じさせます。
あたかも虹のような美しい輪として眼に映ります。
ここで、バラバラなものが、回すという活動によって、一つのつながった円に統一されました。
このことは人間の目にはバラバラに見えるさまざまなことがらが、行為、活動を通すことによって、はじめてつながりをもち、統一されていくことを示します。


赤ちゃんの眼に映る世界も日ごとに変化し、複雑になっていきます。このボールでおこなった遊びをほかのものごとと結びつけていくことこそ大切なことです。
たとえば、ボールを「高く高く、低く低く」などといってその状態を示すだけでなく、赤ちゃんを上にもちあげたり、さげたりしながら同じことばをくり返します。ひとつの同じことばがいろいろな場面で使われることによって、ことばの意味が正しく理解されるようになっていきます。

ボールはさまざまなものごとにつなげていく媒介物です。多様なものごとを統一させていく子どもの最初の活動に欠かせない童具です。そして、ここにあげた遊びは、すわることができるようになっても、歩けるようになってからもくり返しくり返しおこなってください。それによって、ますます子どもの知恵は深まり、広がり、技も開発されていきます。

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