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童具共育2004年秋号

和久洋三の「童具館」は、積み木・木のおもちゃなどの「童具」によって子どもたちの創造力と共生意識を育てます。
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「童具共育」は、童具についてのさまざまな情報、最新情報をお届けする情報誌です。
特集記事、和久洋三のエッセー、読者からの体験記、投稿写真、アトリエ紹介などまた、定期購読者には、WAKU-SHOP通信、積木イベント、ワークショップ、夏アトリエのご案内もおこないます。
  発行:年4回(4,7,10,12月)です。
  仕様:A4判、カラー4ページ
  会費:2年分(当年+翌年)で1,000円(税込、送料込)です。
  お申込み方法:こちらをご覧下さい
  または、もよりの童具取扱店か、童具館に直接お申込ください。
※発行年度は、当年4月〜翌年3月です。「童具共育」は、発行年度の途中に入会された方には、4月(春号)にさかのぼってお届けします。ただし、3月1日以降にお申込みされた方には新年度分(4月)からお届けします。

2004年秋号・もくじ
特集 「積木遊びの世界」
和久洋三のエッセー
  黄色いりんご
わくわく創造アトリエ
  ◎テーマ:三角
「塩ビ板と四面体」と「モザイク遊び」
特集の一部は「子どもの発達と童具 ―積み木遊びの世界―」でご覧いただけます

  黄色いりんご

 もう数年前のことですが、子どもの感性に胸打たれた一つのエピソードをお話します。
 まるい形の果物が机の上にモチーフとして並べてあり、これを描画するアトリエ活動があった日のことです。
 四歳のKちゃんの描いた絵には、モチーフにある赤いりんごがありません。
 「Kちゃん、りんごは描かなかったの?」
 私がKちゃんにたずねると、「これ!」と言って指差したのは、黄色く塗られたヘチマの形でした。
 「Kちゃん、りんごは赤くて丸いだろう」
 「うん」
 うなずいたのをいいことに、私はへちまの形をした黄色いりんごを丸く描き改めて、赤く塗り直しました。
 「ほら、りんごはこう描けば描けるんだよ」
 そう言ってKちゃんを振り返ると、悲しそうな顔がゆがみ、眼から涙が流れ落ちました。
 「ごめん、ごめん、Kちゃんは黄色いりんごを描きたかったんだね」

 

 Kちゃんはハラハラ涙を流しながら小さくうなづきました。
 「悪かった、悪かった、いま直すからね」
 私は必死になってKちゃんが描いたように塗り変えましたが、やはり元通りの雰囲気はなかなかでませんでした。
 「ごめんね、これでいいかな」
  Kちゃんは小さくうなづいてくれました。
 その日、活動が終わってから、私はKちゃんの絵を壁に貼って、見入りました。どうしてりんごを黄色いヘチマの形にしたのか知りたかったのです。ずっと見ているうちに気づきました。一枚の絵として、そこにその形と色があることは少しも不自然ではありませんでした。私はりんごという存在に意識がとらわれていたのでKちゃんの感性を受け入れることができなかったのです。
 心ないことをした自分を恥じました。
 このことがあって、私は子どもの感性をそのまま謙虚に受けとめることがやっとできるようになりました。Kちゃんとの出会いがあったおかげです。


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