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和久洋三「創造共育宣言」 第1章 新しい子どもの誕生@

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創造力と愛の原理

 さて、自由になるということは心から願っていることを可能にすることです。それは、その人ならではの他にない人生を構築していくことにつながります。それが自己実現への道であり、そこに存在理由は生まれます。
 この自由を手にし、実りあるものにする能力が創造力なのだと私は思い至りました。創造共育に向った理由はそこにあります。
 創造力を発揮することによって人間は、同じところに留まることなく、常により豊かで、より確かなものを求めて行動するようになります。そのために、あらゆる情報を駆使して、新しい世界を拓こうとします。結果として必然や調和に敏感になります。そして、その延長線上に、すべてに網の目のように張りめぐらされている<つながりの原理=共生の原理>を直感し、そこに<愛の原理>を感得します。
 やがて、つながりの原理、関係性の原理の中で生かされている自分の存在理由を感じとり、自分の生命を他を生かすことによって生かそうとする素直な気持ちが湧いてきます。

やりたいことをして育つ生きる力

 しかし、残念ながら、現在、人間をより賢く育てるための教育装置としてある学校がこの創造力を消失させる役割を担っています。
 本来、創造力を発揮するために用意された知的好奇心と行動力は知りたいことが学べず、やりたいことに蓋をする毎日によって、やりたいこと、好きなことさえ見失わさせる結果を生みだしています。誰しも自分が知りたい、やってみたいと思うことに眼をつぶり、求めてもいない情報を頭に注ぎこむことにエネルギーを消耗させ続けたら、自分の好きなこと、やりたいことを発見することはできなくなります。素直に感じる心、感性が失われていきます。
 2歳になると子どもは「自分で!」と叫んで、やりたいことに向かいます。
 やりたいことが彼のまわりには無限に存在しています。その姿勢、その欲求こそが人間に与えられた<創造欲求>です。
 しかし、その姿勢はいつの間にか失ってしまいます。
 創造力は試行錯誤を経てはじめて発揮されるもので、ひとからは無駄に見える時間の積み重ねの中から創造活動を導きだすインスピレーション(調和・必然の直観)は生まれます。しかし、<優秀な成績>をとるためにはそんな時間の余裕はありません。やりたいことを断念してとにかく情報を頭につめ込む作業に没頭します。
 こうした中で、自ら発見し、自ら表現するために生まれてきた生命は自らの欲求を押し殺し、<生きる力>を失っていきます。

知ることは自由になること

 乳児がベッドを出てハイハイをしはじめると身の周りにあるありとあらゆるものを手にとって、なめて、見つめて、玩びます。
 これはなんだろう。五感を駆使して知ろうとします。これが発見欲求です。
この精神の底にある知的欲求こそが、自由を求める願望に直結します。
 解りやすい例をあげます。行きつく場所までの道路事情を知っていれば簡単に自由にそこへ向うことができますが、知らなければ迷うことになります。知らないことは不自由であり、知ることは自由を得ることになります。人間には自由を獲得するために発見欲求が用意されているとしか思えません。
 二歳になると「これなに?」の言葉がいたるところで発せられるようになります。事物を言語によっても知ろうとします。
 やがて四歳になると「なんで、どうして」の問いを繰り返すようになります。事態の因果や秩序を知ろうとしはじめます。事物から事態を知ろうとする進歩です。釈迦が苦行の末に開いた悟りは因縁因果の法です。幼児の知的好奇心はそこに向っていくのです。これも発見欲求です。

知ったことはやって身につく

 そして、発見欲求はその欲求をさらに満たすために表現活動に向かいます。やっと立てるようになった乳児が缶をもてあそんでいるうちに缶が転がることを発見すると、次には転がそうとする活動に入ります。新しい事態を生み出そうとする活動ですからこれは表現活動です。
 缶を転がしているうちにどうすればよく転がるか、早く転がすにはどうすればよいか、表現活動を通してまた発見します。発見と表現を繰り返しながら、ものごとを深く知るようになるだけでなく、扱う術も身につけていきます。
 こうした活動を何度も何度も繰り返して幼な子は成長していきます。このあり様をずっと続けることが創造力の開発に必要なのですが、言語を獲得する頃から大人たちの<指示、干渉、教えたがり>がはじまります。言語によって思い通りに子どもを育てようとしはじめます。子どもたちにはやりたいことを自由にする環境がしだいに奪われていきます。
 やりたいことを十分しなかった人間の思考力は低下します。ひとに指示されたことを、指示された範囲で機械のようにやりこなす<指示待ち人間><マニュアル人間>になり下がるしかありません。なぜなら、思考力は「どうして?」「何故?」という問いを自分で積極的に解決しようとする中でしか育たないからです。

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