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ボール遊びが育てる世界 5/6

ボール遊びの中で生まれる言葉

 「人間とは何か」「自分の存在理由はどこにあるのか」この課題の解決のために子どもは誕生と同時に、ある一定の「場所」と身のまわりの「対象物」と、人間の「言葉」に取り囲まれて育ちます。そのため、生気づける言葉や歌を子どもの遊びの中では常に取り入れます。
 子どもを理解している大人は、自分のこともよく解っています。
 自己理解ができている大人は、子どもに対して適切な言葉がけがしぜんにできます。まだ言葉を理解しない子どもに語りかけることが無駄でないことも知っています。それは誕生後間もない乳児を愛撫しながら、話しかけている母親の姿によく表れています。楽しく仲よく遊んで下さい。仲よく遊べば、適切な歌や言葉が口から無意識のうちに繰り返し出てきます。
 この時の心情的な「遊び言葉」には、高い人間性が宿っています。なぜなら、子どもと素直に無心につながろうとする共感感情は、宇宙生命に秘められている「調和の原理」に一致するからです。生命の本質に素直にしたがった時の言葉や行動は人間性を高め、他者の共感感情も目覚めさせます。
 ここで、私達にとって大切なことは、子どもの最初のかすかな表情や動作を、子どもの「身体的・心情的・精神的」なメッセージとして感じとることです。
 子どもの「教育の中心点、出発点は心情的なもの」です。もちろん心情的なものと並んで「活動と思考」や、「肉体と精神」も絶えず発達しています。思考は活動によって呼びさまされ、活動は思考によって意識されますが、その根底には心情の働きがなければ心を動かしません。心情とは心の中で感じる思いや願いです。

(和久洋三著/『遊びの創造共育法 ②ボール遊びと造形』より抜粋)

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