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おもちゃの与え方 5/5

童具を上手に取り入れて楽しい子育てを

知識を教え込むよりも、知恵を育てて下さい

 人生を豊かに生きていく上で必要なのは知識より、「知恵」です。知識はひとつの点にすぎません。「知恵」はその点と点をつないで関係づけ、創造する力です。

 知識を詰め込む教育によって子どもの自発性が失われ創造性を失っていきます。それは、アトリエに集まる子ども達を見ているとよくわかります。
 1、2歳児はじつに素直で正直です。自分のやりたいことはしますが、関心のないことには見向きもしません。一緒に参加している母親や父親が口やかましく指図すると、とたんにやる気をなくして、トコトコ流し台にいって、ジャーッと水遊びを始めます。

 しかし3歳半を過ぎると、だんだん聞き分けがよくなってきて、他者を精一杯受け入れようとしはじめます。活動は一段と意欲的になってきます。4歳になると、友達と協調して遊べるようになり、周囲に自分を適応させはじめます。
 じつは、この時期が子育てで一番危険な時なのです。親はこの頃から、子どもにできるだけ多くのことを教え込もうとし始めます。素直な子ほどこれをけなげに受け止めようとします。そのため、自分のやりたいことを思いっきりやる時間がなくなって、やらされる時間が1日の大半になってしまいます。自分の気持ちを押し殺し、言われたことをやるだけで精いっぱい。「自発性、積極性」に欠ける人間を量産する原因はここにあります。誰かに指示されるまで動けない「指示待ち症候群」も、マニュアルがないと何もできない「マニュアル人間」も、こうした環境によってつくられてしまうのです。小学校に上がるともっと深刻です。学校と家庭という二重の押しつけ教育にさらされることになります。幼い魂がそれに耐えきれるはずがありません。

 私は、子育てにおいて、1、2歳児の特徴である「やりたいことをやる」という態度をもっと大切にすべきではないかと思います。これが自発性を育て、やがて自主性から主体性へ、そして自立をうながすことになります。

 大人になり、積極的に社会に参加していくうえで大切なことは、何を知っているかより、どうコトを成していくかです。創造力豊かな人にはそれができます。自発的に、前向きに人生を切り開き、生きていることをエンジョイできる……これ以上幸せなことがあるでしょうか。子育て中のみなさん、そして保育者のみなさん、子どもの可能性を信じてあげて、自発性を尊重しながら、のびのびとした、強い生命力を持った子に育つ援助をしてあげましょう。
 そのお手伝いを童具でする……いろいろな実例によって私はそう信じています。

(和久洋三著/『おもちゃの選び方・与え方』より抜粋)

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